豪徳寺の閑静な街並みに佇むカフェ「愛騒」様。葉が茂った木に包まれたような外観は、カフェ開業を目指していた店主が一目で気に入り独立を決意したそうです。開業までの経緯や店作りで大切にしていること、BUCKLE COFFEEを選んだ理由について、店主の石川様にお話を伺いました。
店舗DATA
- 店舗名/愛騒
- ジャンル/カフェ&セレクトショップ(コーヒー、書籍、雑貨)
- 席数/12席
- 開業時期/2023年1月
- 住所/東京都世田谷区赤堤2-9-13
- 最寄/東急世田谷線山下駅から徒歩5分、小田急小田原線豪徳寺駅から徒歩7分
- SNS/https://www.instagram.com/_aisou_/
設備DATA
●使用器具
- エスプレッソマシン(FAEMA E61)
- エスプレッソグラインダー(MAHLKONIG E80Supreme)
- グラインダー(MAHLKONIG EK43S)
●抽出方法
エスプレッソ、浸漬式(クレバーコーヒードリッパー)
カフェをやろうと思った経緯を教えてください。
自分が好きなものを一番自然に表現できると思ったからです。
もともとコーヒーが好きだったのと、お店の持つ空間やカルチャーが好きでした。お客さまと話をしたり、ものを売ったりしたいと考えた結果、カフェがやりたいことのハブになると思いました。そこで34歳のときに会社員を退職してカフェで修行し、39歳で独立し開業しました。
お店のこだわりは何ですか。
他のお店にはない、唯一性を意識しています。
今はある程度のコーヒー器具は自分で揃えられるので、美味しいコーヒーだけなら家でも作れると思うんです。だから家では体験できないような、わざわざ行ってみたいと思ってもらえるお店にしたいなと。例えば、店内のBGMスピーカーは奮発しました。このスピーカーを使ってレコードを流すとすごく良い音になるんです。腰の高さくらいまであるので、普通の家では置けないですよね。
書籍は尾山台にあるWARP HOLE BOOKSさん、雑貨はTOKYO DANCEさんの古道具やイラストレーターの野上さんがデザインしたエコバッグやハンカチなどの小物を置いています。一点ものや他では手に入らないものが多いです。
店内は無国籍感をイメージしました。他のカフェには”フレンチ風カフェ”や”アメリカンダイナー”のようなテーマ性のあるお店も多くありますが、僕の場合はそういったイメージをなくしたかったんです。ニュートラルでどこにいるのか分からない、でも時代を捉えたカッコいい感じにしたいなと。
お客さまが気に入ってくれたら嬉しいですけど、中にはひんやりしていると感じる方もいるかもしれません。それぞれの形で捉えてくれたらいいなと思っています。
独立するまでにどんな修行をしていたのでしょうか。
前職のカフェでバリスタとして働き、経験を積んでいました。ただ、ケーキは店で作る機会がなかったんです。
僕はその店のキャロットケーキが好きだったので、厨房のレシピを参考に見よう見まねで練習しました。当時の店の味を完全に再現したかったし、再現できたら独立する自信になると思ったんです。何度も試行錯誤したので、今は前の店の味を超えた自信があります。
カフェを開業するのに必要な経験や知識はありますか。
自分に自信を持つことと、一歩踏み出すことだと思います。
いま新しく飲食店をオープンするときは、一流の店で修行したのを実績にしているところが数多くあります。でも、僕自身はそういうタイプではないんです。調理学校に通ったこともないし、提供しているレシピも多くありません。カフェ修行時代はコロナ禍で経験が全く積めない時期もありました。こんな状態で大丈夫?というところからのスタートだったんです。
けれど、契約するにしても業者と交渉するにしても、自分が逡巡してしまったら動けなくなってしまいます。これを売りたい、ここで店を開きたいと思ったら、自分を肯定してあげる気持ちと即決するフットワークの軽さが必要だと思います。上手くいかなくても、失うのはお金だけですから。
BUCKLE COFFEEを知ったきっかけは何ですか。
雑誌のコーヒー特集で掲載されていたのがきっかけでした。店のコーヒーとして選んだのは、他の候補と飲み比べた中で自分の舌に一番合うと思ったからです。BUCKLE COFFEEさんのコーヒーは、浅煎りが強いものよりも中浅煎り以降のものが多く、中深煎りが好みの自分にとって相性が良いと感じました。
日頃からBUCKLE COFFEEと取引をして感じることは。
きちんと組織化されていると感じます。
全体的にみて、飲食業界は臨機応変さが求められる反面、対応がルーズに感じることもあります。それに対して、BUCKLE COFFEEさんは対応がしっかりしていて、納期や事務手続きのトラブルにあったことがないですね。また、品物を卸すだけで終わらず定期的に足を運んでくれるところに、サポートのきめ細やかさを感じています。味も重要ですが、カフェオーナーとしては安心して取引できるのはとても大事です。
また、BUCKLE COFFEEのある大田区雑色から、ここまで適度に距離があるのもいいなと思っています。この世田谷エリアの人たちはBUCKLE COFFEEを知らないため、おそらくこのコーヒーはうちの店でしか飲めません。それも唯一性につながっていますね。
どの属性にも捉われない、愛騒の世界を大切にしている石川様。多くのカフェが点在するこのエリアで、BUCKLE COFFEEが独自性の一つになっていること、安心して取引していただいていることを嬉しく思います。ありがとうございました!
(文・撮影 みつはしさなこ)