アクリルパネルが〇〇に?廃材利用から始まる新しい社会貢献

大田区にあるBUCKLE COFFEEの店舗では、嬉しいことに2023年の末頃から注文カウンターにコロナ対策として設置していたアクリルパネルを撤去しています。おかげさまでお客様からコーヒーに関する質問にお答えする機会や、皆様と談笑する場面が増えました。本来であれば撤去したパネルの置き場に困るところですが、実はある意外なものに姿を変えています。

POPへと姿を変えたアクリルパネル

一見同じように見える2枚のパネルですが、片方には”TOKYO”の文字。もう一方には”OTA”とあります。BUCKLE COFFEE特有の工場感のある無骨さを残しつつ、様々な場面で上品さを添えてくれています。そしてパネルを注文カウンターから撤去した時期と同じ頃、前まではなかったバリスタ達と会話を楽しんだり、抽出の様子を観察できるカウンター席もひっそりと登場しています。そんなカウンター席には”Seed to cup”のパネル。これらは実は全て、店頭にあったアクリルパネルを再利用、アップサイクルして作られた物たちなんです。今回はそんなパネルたちがどのような思いとともに、職人さんたちの手によって形を変えたのかご紹介します。

株式会社コバヤシとBUCKLE COFFEEの出会い

株式会社コバヤシさんとは2023年に東京ビックサイトで行われた日本最大級のギフトと雑貨の見本市である、”東京インターナショナル・ギフト・ショー”でのご縁がきっかけでした。我々BUCKLE COFFEEもオフィスコーヒーのサービスで出店しており、その際にプラスチックを主に扱っている企業であるということ、廃材を再利用するアイデアの提案を頂きました。その後何が必要か、一緒にどんな廃材の活用方法があるのか等複数回の話し合いを経た結果、今のパネルから作ったPOPのアイディアが生まれました。

プラスチックメーカーとしてできること

今回制作に携わって頂いたのは”Plus Value to Plastics プラスチックに何をプラスする?”を掲げる東京都、台東区に本社を構える株式会社コバヤシさん。おもちゃ等のプラスチック材料問屋として始まった1952年の会社創立以来、材料の製造から製品生産だけでなく商社としての一面も持つプラスチック総合企業です。カップラーメンやアイスクリーム容器も製造しており、なんと納豆、豆腐容器においては日本の約60%のシェアがあるんだとか。そんな中「脱プラスチックをはじめプラスチックが敬遠される現代においてプラスチックメーカーとして何が出来るんだろう。」と考えた結果、以前から研究所ではバイオマス樹脂の開発に取り組んでいたが、新たにリサイクル、アップサイクルの観点から廃材を活用するサービスが始まったと言います。今回そんな株式会社コバヤシさんの容器事業部の原田さんにお話を伺いました。

今回のパネルはどのように作られたのでしょうか?

製作には古くから付き合いのある会社のノウハウを用いており、最近よく耳にするようになったアクリルキーホルダー(通称:アクキー)の制作にも使われるプラスチックの表面に印刷をするためのデジタルプリンター技術と、加工のためのレーザーカッター技術を使用しています。ここにBUCKLE COFFEEの持つアイディアやデザイン性を掛け合わせ、〈デザインはドイツでアーティスト活動をしているグラフィックデザイナーの井本さんによるもので、他にも当社が展開している自社製品の開発における、オリジナルドリップパックのデザイン等も手がけています。〉シャッター製造業からコーヒー製造業に事業転換したBUCKLE COFFEEの無骨なインダストリアルな雰囲気を残しながら、コーヒーの産地と焙煎所の雰囲気のイメージがお客様に伝わりやすいようなデザインです。

なかなかの存在感のある形ですが、実は当社では展示会などの際に使用している1.8m程の大きいロールバナーもあり、いわゆるそのミニバージョンとなっております。さすがにその大きさのものを店頭に置くのは難しく、「良いデザインなんだから他の環境でも使えないか!」ということでこのサイズに落ち着きました。

パネルの作成の際のこだわりは?

レーザープリンターを使用したことによる、シズル感(食品の臨場感)や写真の精度ですね。かつ壊れにくく、廃材からのアップサイクルはサステナブルという点でやはりこだわりです。SDG’sなどを踏まえて新たに環境に貢献するものを求めた結果、今のパネルができています。

廃材活用の事例

今回の依頼では不要になったアクリルパネルを使って一緒にPOPを制作しましたが、株式会社コバヤシさんではおからやお茶の活用検討、コーヒーなどの有機食品のロスからの廃材利用もされています。例えば、生豆が入っている麻袋をトートバック等の縫製関連商品やテディベアのぬいぐるみ等にアップサイクルしたり、見栄えが悪い欠点豆や抽出かすからリユースカップを作成しています。シルバースキンと呼ばれる、コーヒー豆の表面についている薄皮のようなものを使って、紙を置いて支えにするためのバインダーも制作も行なっていますし、現在も新たな製品の制作に向けて動いています。

締め

当たり前に身近にあったものでも、たくさんのこだわりや思いが込められていることを再確認することでその物への愛着はより一層強くなります。工場の一角を間借りするところから始まった我々BUCKLE COFFEEも形を変えても愛され続けられるように、引き続きとびきり美味しいコーヒーをご用意して皆様をお待ちしております。店頭にいらした際は、是非パネルもご覧になってみてください。

企業/株式会社コバヤシ
業種/製造・商社
規模/661名
webサイト/https://www.kbjapan.co.jp/jpn

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